設立の前に決めるべき3つのこと
この3点を先に固めるかどうかで、所要期間が倍違います。
- 1
何のための法人か
登記の形式は同じでも、後から効く論点が目的によって変わります。
- 2
登記住所をどこにするか
実在の住所が必要です。オフィス契約前なら登記住所サービスを使うのが一般的です。
- 3
設立後の運用を誰が持つか
設立は一回きり、運用は毎月・毎年続きます。最も見落とされる点です。
登記住所サービスで確認すること
- 税務当局からの通知が届き、受領・転送される運用があるか
- 将来オフィスを構えた際の住所変更登記の費用と期間
- VAT登録・輸入ライセンスなど、業種によってはバーチャルアドレスが認められないケース
設立後に毎月・毎年続くこと
- 毎月月次会計・税務申告GDT登録の税務代理人のみ代行可
- 毎年パテント税の更新事業登録税
- 毎年ビザ・労働許可の更新駐在員ごと
- 毎月NSSFの納付社会保障基金
目的別に効いてくる論点
表は横にスクロールできます。
| 目的 | 典型的な形態 | 効いてくる論点 |
|---|---|---|
| 開発・BPO拠点 | 100%子会社(Private Limited Company) | 採用と労働許可の枠、回線の冗長性、情報セキュリティ要件 |
| 販売・輸入 | 100%子会社 | VAT登録、輸入ライセンス、通関業者の選定 |
| 持株・資産保有 | 100%子会社 | 配当源泉14%と本国還流の設計、租税条約の適用 |
| 現地パートナーとの合弁 | JV | 少数株主の保護、デッドロック条項 |
開発拠点の場合、法人設立は入口にすぎません。難しいのは採用と、拠点のIT環境・情報セキュリティを本社基準に合わせることです。
手続きの流れ
窓口と目安期間です。枠で囲んだ本国側の書類準備(2)が、実務上いちばん時間を左右します。
- 1商号の予約・確認商業省(MoC)数日
- 2定款・株主/取締役の書類準備本国側1〜2週間
- 3法人登記の申請MoC(オンライン)1〜3週間
- 4税務登録(納税者番号・VAT)税務総局(GDT)1〜3週間
- 5パテント税の納付GDT登記後
- 6銀行口座の開設各商業銀行登記完了後
- 7事業所登録・NSSF登録MLVT / NSSF雇用開始前
法人口座は登記完了後、書類が揃っていれば即日開設できた例もありますが、条件は金融機関ごとに異なります。
必要書類(典型例)
- 株主・取締役全員のパスポート写し(有効期限に余裕のあるもの)
- 法人株主の場合、登記事項証明書・定款の英訳+認証
- 取締役の住所証明
- 登記住所の賃貸契約書または使用許諾
- 会社印・署名見本
- 事業計画の概要(口座開設時に実質的に求められます)
費用感
代行費用を含む実勢の目安です。業者・業種・資本金額で変動します。
表は横にスクロールできます。
| 項目 | 目安 | 性質 |
|---|---|---|
| 法人登記(政府費用+代行) | $1,200–3,000 | 一回 |
| 税務登録・VAT登録 | $300–800 | 一回 |
| パテント税(納税者区分による) | $100–400 程度 | 毎年 |
| 登記住所サービス | $300–1,000 / 年 | 毎年 |
| 月次会計・税務申告 | $200–500 / 月 | 毎月 |
よくある失敗
- 1
金融機関の必要書類を確認せずに進める
口座開設時に手戻りします。必要書類と資本金払込証明の発行条件を先に確認します。
- 2
税務申告の担当者を決めずに設立する
申告漏れのペナルティは自動的に積み上がります。
- 3
節税を目的に据える
居住者は全世界所得が課税対象で、法人税は20%です。税制上の優位性を理由にした設計は成立しません。 実費比較を見る
- 4
IT環境を後回しにする
立ち上げ直後の端末・アカウント管理は属人化しがちで、後の内部監査で論点になります。