このページの要点

  1. 1土地の直接所有を除き、外国資本100%で法人を設立できます。タイの外資規制(原則49%上限)との最大の違いです。
  2. 2ただしシンガポールも100%可能です。シンガポールと比べる場合、これは優位性になりません。
  3. 3設立はコモディティ化しています。価格ではなく、設立後の運用を誰が持つかで選ぶ領域です。
  4. 4登記には住所が必要です。オフィスか登記住所サービスを先に決めます。

設立の前に決めるべき3つのこと

この3点を先に固めるかどうかで、所要期間が倍違います。

  1. 1

    何のための法人か

    登記の形式は同じでも、後から効く論点が目的によって変わります。

  2. 2

    登記住所をどこにするか

    実在の住所が必要です。オフィス契約前なら登記住所サービスを使うのが一般的です。

  3. 3

    設立後の運用を誰が持つか

    設立は一回きり、運用は毎月・毎年続きます。最も見落とされる点です。

登記住所サービスで確認すること

  • 税務当局からの通知が届き、受領・転送される運用があるか
  • 将来オフィスを構えた際の住所変更登記の費用と期間
  • VAT登録・輸入ライセンスなど、業種によってはバーチャルアドレスが認められないケース

設立後に毎月・毎年続くこと

  • 毎月月次会計・税務申告GDT登録の税務代理人のみ代行可
  • 毎年パテント税の更新事業登録税
  • 毎年ビザ・労働許可の更新駐在員ごと
  • 毎月NSSFの納付社会保障基金

目的別に効いてくる論点

表は横にスクロールできます。

目的典型的な形態効いてくる論点
開発・BPO拠点100%子会社(Private Limited Company)採用と労働許可の枠、回線の冗長性、情報セキュリティ要件
販売・輸入100%子会社VAT登録、輸入ライセンス、通関業者の選定
持株・資産保有100%子会社配当源泉14%と本国還流の設計、租税条約の適用
現地パートナーとの合弁JV少数株主の保護、デッドロック条項

開発拠点の場合、法人設立は入口にすぎません。難しいのは採用と、拠点のIT環境・情報セキュリティを本社基準に合わせることです。

手続きの流れ

窓口と目安期間です。枠で囲んだ本国側の書類準備(2)が、実務上いちばん時間を左右します。

  1. 1商号の予約・確認商業省(MoC)数日
  2. 2定款・株主/取締役の書類準備本国側1〜2週間
  3. 3法人登記の申請MoC(オンライン)1〜3週間
  4. 4税務登録(納税者番号・VAT)税務総局(GDT)1〜3週間
  5. 5パテント税の納付GDT登記後
  6. 6銀行口座の開設各商業銀行登記完了後
  7. 7事業所登録・NSSF登録MLVT / NSSF雇用開始前

法人口座は登記完了後、書類が揃っていれば即日開設できた例もありますが、条件は金融機関ごとに異なります。

銀行口座のガイドを見る

必要書類(典型例)

  • 株主・取締役全員のパスポート写し(有効期限に余裕のあるもの)
  • 法人株主の場合、登記事項証明書・定款の英訳+認証
  • 取締役の住所証明
  • 登記住所の賃貸契約書または使用許諾
  • 会社印・署名見本
  • 事業計画の概要(口座開設時に実質的に求められます)

費用感

代行費用を含む実勢の目安です。業者・業種・資本金額で変動します。

表は横にスクロールできます。

項目目安性質
法人登記(政府費用+代行)$1,200–3,000一回
税務登録・VAT登録$300–800一回
パテント税(納税者区分による)$100–400 程度毎年
登記住所サービス$300–1,000 / 年毎年
月次会計・税務申告$200–500 / 月毎月

よくある失敗

  1. 1

    金融機関の必要書類を確認せずに進める

    口座開設時に手戻りします。必要書類と資本金払込証明の発行条件を先に確認します。

  2. 2

    税務申告の担当者を決めずに設立する

    申告漏れのペナルティは自動的に積み上がります。

  3. 3

    節税を目的に据える

    居住者は全世界所得が課税対象で、法人税は20%です。税制上の優位性を理由にした設計は成立しません。 実費比較を見る

  4. 4

    IT環境を後回しにする

    立ち上げ直後の端末・アカウント管理は属人化しがちで、後の内部監査で論点になります。

手続き前に最新情報で確認すべき論点

制度や運用が変わりやすく、個別の状況によっても扱いが異なる論点です。ご相談時には最新の状況を確認してご案内します。

  • 最低払込資本金の実務上の運用(規定額と、銀行が資本金口座に求める実額の乖離)
  • QIP(Qualified Investment Project)認定の現行要件と、実際に認定が下りる業種の範囲
  • 納税者区分(Small / Medium / Large)の判定基準とパテント税の最新税額
  • 日本・カンボジア租税条約の適用手続き(配当源泉14%の軽減可否)

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